残暑お見舞い



KIEFER ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■




 「あーつーいーーー」

 カディナールは涼を取りにアイギスの所へと足を運んでいた。
庭の木陰に出した3人用程の白いテーブルに突っ伏して、先程からうだうだと
叫んでいる。
 アイギスはというと、そんなカディナールの様子も気にする事なく
お茶の用意をしていた。

 「暑いよ〜」
 「言葉にすると余計に暑く感じるぞ」
 「そんな事いったって〜」

 本日の聖地の気温は30度。女王陛下は万年常春の聖地にも季節感をと
たまに気温を上げたり下げたりしている。
それを聖地に暮らす人間達は楽しんだり、普通に過ごしたりと様々だが
ただ1人カディナールだけは子供のように、暑い寒いと毎回だだをこねるのである。
 そんな時訪れるのは大抵風の守護聖の所で、どんな理由でも
屋敷に訪れた人間を持て成すアイギスの性格と、彼の醸し出す空気が肌にあうカディナールは
用がなくてもちょこちょこアイギスの所へと遊びにきていた。

 「アイギス暑い!」
 「私が気温を左右している訳ではないんだ。私にはどうも出来ない」
 「で〜も〜、溶けちゃうよ〜〜」
 「カーディ。口を開けて御覧」
 「?」

 いわれるままにカディナールは素直に口を開けた。
まるで親鳥の帰りを待つヒナのようなその姿に、アイギスは心の中で”可愛い”と呟いた。
 ”あ〜ん”とばかりに開いているカディナールの口の中にアイギスは
ハート形をしたピンク色の物体を投げ入れた。

 ひやりとしたそれに、カディナールは吃驚したがそれを口の中で噛み砕くと
ほんのりとした甘さが口の中に広がった。

 「シャーベットだよ。シエラが作ってくれた」
 「ん〜〜〜♥」

 シエラとはアイギスの屋敷に勤めるシェフで、50を過ぎる女性だ。
風の守護聖に長く勤めている彼女は、親子程歳の離れたアイギスを
本当の息子のように可愛がっており、彼だけでなく
アイギスのもとを訪れる人達には誰にでも、心のこもったもてなしをしていて
得にデザートなどを得意とする彼女は、カディナールのお気に入りなのである。
シエラもまた、自分の作ったものをおいしそうに食べるカディナールは
最高の客人であった。

 カディナールはしばらくシャーベットの味を口の中で味わっていたが
やがて全部飲み込むと、”次”とばかりに再び口を開けた。

 「ほら、好きなだけ食べていいから自分で食べなさい」
 「ほんと?。全部食べてもいい?」
 「ああ」

 アイギスの前にあった2〜3人分くらいはありそうな、大きなガラスのボールに
鮮やかに詰められたシャーベットを、カディナールは自分の前にまで
器ごと引き寄せると、フォークを片手にしゃぐしゃぐと食べ始めた。

 見るからに暑そうな表情のカディナールとは対照的なアイギスは
汗ひと粒すらもかいた様子を見せずに、カディナールの前の椅子に腰掛け
カディナールが美味しそうにシャーベットを食べる様を眺めている。

 さわさわと流れる風が、テーブルの上に覆い被さる木々の葉を揺らし
アイギスとカディナールにあたる木漏れ日をゆらゆらと動かした。



 聖地の夏の日。海がある訳でもなく、湖は底が深く危ないので遊泳禁止。
特に変わった事がある訳でもないが、それでもそれぞれが夏の暑さを楽しんでいる午後だった。




■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■END




オリジな先代アイギスとカディナールのある日の午後風景。
あ〜〜、こういうお話ってなかなか上手く書けないやー。落ちないし。
毎日の生活の様子を上手くかけたらいいなと、それが目下の目標です。






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