闇の子供達〜照らす光



KIEFER ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■




 「急いで負傷者の手当てを‥」
 「ああ」

 平穏を取り戻した宮殿の中はけが人への対応に追われていた。
同時にオスカーが研究院で捕らえた不審人物への調べも進んでいたが、なんせ時間が遅く
宮殿へと集まっていた全ての者が休みの場へと戻って行った。

 「クラヴィス、アンジェリーク‥。そなた達も手当てを受けた方がよい。ゆっくりと体を休める事だ」
 「気持ちは嬉しいけどジュリアス、 私達急いで帰らなきゃいけない所があるの」
 「帰る所?」
 「早く迎えに行って私達が無事な事を知らせないと‥‥」
 「その心配は無用だ」
 「?‥‥‥‥どういう事だ」

クラヴィスとアンジェリークは、ジュリアスの言葉に顔を見合わせて問い返した。

 「二人とも、体の方が動くのであればついてくるといい」
 「???」


 いわれるままにジュリアスの案内の元、二人はジュリアスの屋敷についた。
中では無事を案じていたディアが起きていたが、クラヴィスとアンジェリークの姿を見るや
うっすらと涙を浮かべながら、二人の無事を祝った。

 「クラヴィス!!。アンジェリーク!!!。よかった!。二人とも生きていたのね!?」
 「ディア!!。あなたにも迷惑かけたのね」
 「迷惑だなんて‥‥‥。無事だっただけでもう‥‥‥」
 「ディア‥‥あの二人は?」
 「部屋でぐっすり眠っていますわ」
 「‥‥??一体何の話なの?」
 「いいからついていらして」

 謎に包まれたままの二人をディアはある一つの部屋へと案内した。
静かに開かれたその部屋の中は明かりが消されており、ベッドに誰が寝ているのかは解らなかった。

 「‥‥もう眠っているから静かにね‥‥?」

ディアにいわれるままにベッドへと近付き薄明かりに照らされた顔を覗き込むと‥‥‥

 「クラヴィス!!!!!」
 「何故この二人がここに!!??」

 アンジェリークは眠っているわが子達を起こさないように‥‥しかし
溢れる愛しさを押さえきれずに二人の寝顔にそっと手を触れる。
暖かいそのほほの柔らかさに、抱き締めたいのを堪えながらもぽろぽろと涙をこぼした。
そんなアンジェリークの肩に手をまわし、クラヴィスがそっと抱き寄せると
その胸の中で声を殺してアンジェリークが感激にむせていた。

 「部屋を変えましょう?。せっかく寝た二人を起こしてしまうのは忍びないわ」

 クラヴィスとアンジェリークは、自分達の知らぬ所で起こった出来事をジュリアスと
ディアから聞くと、用意された別室で疲れた体をベッドの中へと沈めた。





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 翌朝、いつもと同じ朝食の席で二人の兄妹はジュリアス、ディアと向き合って
食事をとっていた。兄の方はまだ幼い妹の方を気にしながらも皿へと手をつけていた。

 「あ!。残しちゃダメだっていつも言ってるだろ」
 「だあって‥‥‥トマト嫌いなんだもん‥‥」
 「だめだよ。食べないと」
 「やあ〜だ」

 サラダを残す妹とのやり取りを眺めながら、その後ろに二つの影が歩み寄っているのを
ジュリアス達は黙って見ていた。しかし、その顔にはすでに笑顔が綻んでいる。

 「‥‥お兄ちゃんの言う事はきちんと聞かなくちゃダメよ。いつも言ってたでしょ?」

 思わぬその声に兄妹はサッと声のした方に振り返った。
そこには逢いたくて逢いたくてしかたなかった二人が微笑んでいた。

 「お父さん!!!お母さん!!!!」

 妹が素早く椅子からかけおりてアンジェリークに抱きついた。
アンジェリークも娘をきつく抱き締めると、まるで迷子になった子供が母親を見つけた時のように
泣きじゃくり始めた娘をなだめた。
目を息子の方に向けると、まだ幽霊でも見たかのような、というよりは
妹に先に抱きつかれた為、飛びつきたい気持ちを押さえ付ける様子で
アンジェリークは娘をクラヴィスに抱き渡すと、息子に向けて両手を広げた。

 「いらっしゃい‥」
 「‥‥‥‥‥かあさん!!!」
 「お兄ちゃんとしてちゃんと妹を守ったのね‥‥‥。偉かったわよ」
 「かあさん!!‥‥‥‥‥‥僕‥‥」
 「もう大丈夫よ‥。何にも心配いらない。今まで通りいつも一緒よ」

 ”両親にかわって妹を守る”という重責から解放された兄は母の腕の中で
わんわんと泣いていた。
それは聖地に訪れた時にオリヴィエの腕の中で流した、悲しみを解放する涙ではなくなっていた。





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 6人で朝食を終えた後、クラヴィスとアンジェリークの無事を確かめに
昨夜対面を逃した守護聖達が朝早くからジュリアス邸に集まっていた。

 「皆‥‥‥騒動を起こしてごめんなさいね。それとたくさん心配してくれたみたいで‥」
 「いいえ!、お二人が御無事だっただけで‥‥」
 「ええ、本当に。‥‥また二人にあえた事が一番嬉しいですよ〜‥‥」
 「‥‥‥‥‥すまぬ。心配をかけたな‥‥ルヴァ」
 「!!いいえ‥‥とんでもありません‥」
 「じゃあ、皆いる事だし改めて子供達を紹介するわね。
  息子の「ザイオン」と、娘の「リルヴェール」。さ、挨拶して」
 「‥よろしく」
 「おかあさん。‥‥オスカーが居ないよ?」
 「‥リールー。オスカーは怪我をしててここには来れないのよ。
  後で一緒にお見舞いに行きましょうね?」
 「うん!」
 「リールーはオスカー様がお気に入りだからな」
 「そうなの?」
 「うん!。私、オスカーの事だぁ〜い好きだよ」
 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

 その台詞を聞いたとたんクラヴィスがあからさまに嫌な顔をした。周りにいる者達には
解らない微妙な表情の変化だったが、それに気付いたアンジェリークは小声で囁いた。

 「‥‥‥‥‥やだクラヴィス、リールーの言う事間に受けないでよ。大人気ない‥」
 「‥‥‥よりによってあの者が‥‥‥」
 「クラヴィス様‥‥‥大分変わられましたね‥」
 「‥リュミエール‥‥」
 「御優しいお顔を為さるようになりました」
 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
 「それぐらいにしてあげてリュミエール‥‥。結構この人照れ屋だから‥」

 「クラヴィス様!!。アンジェリーク様!!」
 「ディルエルダー!」
 「また御会い出来て嬉しいです!!。僕信じてました。お二人はきっと生きてらっしゃるって」
 「‥‥‥‥‥‥‥‥ディルエルダー」

 クラヴィスはまるで子供の頭を撫でるようにディルエルダーの頭をクシャッと撫でた。
それに答えてディルエルダーがとびきりの笑顔を向けると、クラヴィスも口の端が弛んだ。




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とりあえず、苦手なしりアスシーンはここまでです。って後書きで先ばらしてどーすんの。
ここでやっと子供達の名前が出てきました。今まで出てこなかったのは‥‥‥
なかなかイイ名前が見つからなかったからです。ちなみに「ザイオン」というのは
『宝物』的な意味があったと思います。確か。‥‥‥多分。






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