バレンタイン |
KIEFER ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
その日、ロザリアは朝早くからチョコレートと格闘していた。 明日はバレンタイン。1年でたった一度、女の子から愛を告白する勇気が持てる日。 想い人のオリヴィエがバレンタインを知っているかは解らないが 自分の想いを思いきって伝えてみようと、決心をした。 甘さをひかえたビターチョコレートを星の形の型に流し込む。 普段お世話になっている他の守護聖様方の分と、オリヴィエの分を冷蔵庫にしまうと ロザリアは眠りについた。 バレンタイン当日の朝、きれいに冷えて固まったチョコレートを 可愛くラッピングすると、いつもより念入りに身だしなみを整え部屋を後にした。 部屋を出たところでアンジェリークと会った。 「おはよう!ロザリア」 「おはよう」 アンジェリークはめざとくロザリアの持っているカゴの中身を見ると 人懐っこい笑顔で言ってきた。 「あ、ロザリアもチョコレート作ったの? ねえ、よかったら一緒に行かない?。1人だとなんだか恥ずかしくって」 「(この子と一緒なら自然に渡せるかしら‥‥) しようのない子ね。いいわよ。一緒に行きましょ」 「ありがとう!ロザリア」 気恥ずかしいのはロザリアも一緒だった。 二人はまず、9人の守護聖の中でも比較的話しやすい年少組の3人から渡す事にした。 ランディ、マルセル、ゼフェル、クラヴィス、リュミエール、ジュリアス、オスカー ルヴァ、オリヴィエ、の順でまわっていく事にした。 ************************* 「後はオリヴィエ様だけね」 「そうね」 途中、マルセルにはお茶をごちそうになり、 ゼフェルには、甘ったるいにおいを近付けるなと怒鳴られ、 リュミエールには、お昼をごちそうになり、と想ったより時間がかかり すでに夕陽が沈みかかっていた。 オリヴィエの館の前までくると、ロザリアは高鳴る胸を抑え、 深く深呼吸をし、カゴの中の最後の一包みに手をのばした。 「!?。ちょっと待ってアンジェリーク!!」 「どうしたの、ロザリア?」 「オリヴィエ様に作ったのがないの!!」 「え?。でも、残ってる一個は?」 「これは違うの。オリヴィエ様にお渡しするものは別に作ったのよ!」 「じゃあ間違えて誰かに渡しちゃったの?」 「どうしよう‥‥。どなたに渡してしまったのか解らないわ‥‥‥」 ショックだった。ありったけの想いと勇気をつめたチョコレートをなくしてしまい ロザリアは気持ちを伝える勇気もなくしてしまった思いだった。 「‥わたくし‥‥」 「あ!!ロザリア。待って!!」 アンジェリークが止めるのも聞かずにロザリアは走り出した。 「おっと!。こんな時間にこんな所でどうしたの?私に何か用?」 「オリヴィエ様‥‥」 タイミングが良いのか悪いのか、ロザリアが走り出した先には 外出先から帰ってきたオリヴィエがいた。 …この人に差し上げようと思って一生懸命作ったのに。 好きって気持ちを伝えようと‥‥。なのに‥‥。 ロザリアは自分のふがいなさに我慢できず、涙をぽろぽろとこぼしはじめた。 「どうしたんだい‥一体‥。とりあえず、二人とも中にお入り」 ************************* 「…なるほどね。そういう訳だったの。ほらロザリア、もう泣かないで。 あたしは残ったのでも十分嬉しいよ。 あんたが作ってくれたものには変わりないだろう?」 「それじゃダメなんです!オリヴィエ様のためにせっかく作ったのに‥‥」 「女の子のそ−いう気持ち、とってもかわいいよ。 けど、あんたは大事な事を一つ忘れちゃってる。 好きな人にもらったものは、どんなものでも嬉しいのが恋心ってもんだろ? アタシはロザリアの作ったチョコレートと、その気持ちだけで満足だよ☆」 「でも‥‥」 「まだ納得しないのかい?‥‥じゃあこうしようか」 オリヴィエは残った包みのリボンをといて、ロザリアに飾った。 「これをくれたら、あんたのポカも許してあげる☆」 「オリヴィエ様‥」 「ここから先はアンジェリークには目の毒。あっち向いててちょうだい」 「は〜い」 オリヴィエは優しくロザリアにKISSをした。 「さ、二人とももう遅いからおかえり」 「はい。お邪魔しました、オリヴィエ様。行こう?ロザリア」 「え、ええ」 「気をつけて帰るんだよ」 「おやすみなさい。オリヴィエ様」 「おやすみ、ロザリア。アンジェリーク」 ************************* 「ちょっと邪魔するぞオリヴィエ」 「オスカー。こんな時間に一体なんの用よ」 「これ。お前にだ」 そういうとオスカーは小さな包みをオリヴィエに向かって投げた。 「なによ」 「見て解るだろう。チョコレートだ」 「あんたからのなんてイラないわよ」 「安心しろ。ロザリアからのものだ。昼間、俺のとこに来ておいていったんだが お前へのメッセージ付きなんて、さすがに食べる気はしないからな」 「ふ〜〜ん。あんたのとこにいってたんだ。一応礼はいっとくよ」 「別に気にするな」 「ちょっと待って!。じゃあこっちはあんたにあげる」 「お前からのチョコレートなんてイラないぞ」 「御心配なく。ロザリアからあんたへのた・だ・の・義理チョコよ」 「‥‥‥‥‥‥‥‥」 オスカーが帰った後、ベッドに入ったオリヴィエは包みを開けてみた。 小さな星形のチョコレートが数個と、小さなメッセージカードが入っていた。 〜オリヴィエ様。 好きです。 ロザリア。〜 オリヴィエはそのカードを愛おしく見つめるとKISSをした。 「うん。アタシも好きだよ。ロザリア」 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■END バレンタインに向けて急いで仕上げました。 創作日数1日。。。。 急ぎすぎたせい?で尻切れとんぼな終わりかたです。 イラストも描いたけどこっちはさすがに間に合わなかった…… |
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