HappyQueen



KIEFER ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■




 「いや〜〜ん、もう15分も過ぎてる!!」

 腕時計をちらっと見ると、アンジェリークはくるぶしまであるスカートを膝のあたりまでまくり挙げて
走り続けた。
 彼女が女王の座についてかなりの年月が過ぎた。
候補生だった頃の守護製達は、一人、また一人と聖地を去り
今では鋼の守護聖ゼフェルと、緑の守護聖マルセルの二人のみになってしまっていた。
 平日の午後3時は、もう何年にも渡り実行されているマルセルとのティータイムの時間。
小1時間程仕事を抜け出しては、人通りの少ない草原にシートをしいて
マルセルお手製のお茶にお菓子を、おやつにするのが日課になっている。
 本来なら執務中の時間なので、どうしても抜けられない時は仕方がないが、
それ以外の時は必ず顔を出すようにしていた。
アンジェリークにとっては大事な恋人との時間だから‥‥。


 「おまたせっ。今日は何のお菓子?」
 「アンジェったら、またそんなカッコで走ってきたの?
  危ないからゆっくりでいいっていつも言ってるのに」
 「だって待切れなくて歩いてられないんだもの」


 候補生だった頃は気付かなかった。
ただ、何でも話せて気の許せる友達だと思っていたのに‥‥。
女王に馴れてきた頃に気付いた恋心。
その頃にはもう「女王陛下と陛下に仕える守護聖」という立場で
どうしようもなかった。
しかしマルセルは自分の気持ちを受け入れてくれた。
おまけにマルセルも同じように自分を想っていたと打ち明けてくれた。
他人行儀でかしこまった言葉遣いを止めてくれたら、
昔のように名前で呼んであげると言われて有頂天になったあの頃からだいぶ経った。
今では自分の隣にマルセルがいるのが当たり前で、
その心地よさは「幸せ」そのものだった。


 …女王に恋は必要無い…
誰にも話せない苦しい恋に悩んでいた自分に先代女王がくれた言葉。
 …その相手の事しか考えられず、自分も周りも見えなくなってしまうような恋は
  女王には必要の無いもの。
  誰かを好きになった事で、自分を成長させられる様な恋をなさい。…
言われた時は突き放されたような気がした。
けど、この言葉以上に今の私をつくり出したものはない。
マルセルを好きになった事を誰にでも誇れるように
一日でも早く女王に相応しい自分に成れる様努力してきた。
そんな私を彼は好きになってくれたのだから‥‥。


 「陛下!やっぱりここにいらした!」
 「ロザリア‥‥?」
 「明日の4時に予定されていた王立研究院からの報告が
  今日の3時半に変更したと、私今朝確かにお伝えしたはずですが」
 「あっ!」
 「‥やっぱり忘れてましたね。
  こんな子供の使いのようなまねを、今さら私にさせないで下さいな」
 「ごめんなさ〜い。今すぐ行ってくる。ロザリアはゆっくりしてて」
 「ゆっくりって、まだ執務中ですのよッ!」
 「いいから取り合えず座ったら?ロザリア。どんなときでも休息は必要だよ」
 「マルセル様‥‥。では少しだけ」












今の私には何も恐れるものはない。
愛する人が側にいて(彼は絶対に私を独りになんてしない。)
支えてくれる友人がいて(ちょっと口はきついけど。)
導くべき多くの魂達がいる。(彼等の為に今の私は存在しているんだもの。)
先代に教わった女王としての心得その1、
 …全ての存在は愛されるべく存在している。
  女王としての仕事は一つ。
  その全てを愛し、慈しむ事。それが女王の姿。…
その姿に近付く為に、1歩また1歩と私は歩きだす。
私の背中を、押して、支えて、暖めてくれる人達と一緒に‥‥。




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結構珍し気な、「マルセル&リモージュ・未来形」のお話なんぞを書いてみました。
なんだかしりきれとんぼで、自分の中ではイマイチです。
も少しうまくなったら書き直そっかな‥‥。






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