分からず屋にでこぴん!!



KIEFER ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■




 「はあ〜〜、良い天気ですねぇ‥‥」

ルヴァは仕事の合間の息抜きに公園へと足をのばしていた。

 「やっぱり部屋に閉じこもってばかりじゃいけませんよね〜〜」

 誰に話す訳でもなく1人でぽつぽつとかなり大きな独り言を呟きながら、
ルヴァは公園をぐるっと一回りした。そしてそろそろ執務室へ帰ろうかとした時に
公園の入り口に見なれた少年が歩いて来た。
自分とは遠いようで近い理由で滅多に昼間外には出ない少年、ゼフェルである。

 「おや?、珍しいですね。ゼフェルが公園に来るなんて‥‥。
  まあ、執務室の中で実験をされるよりは良いですけどねぇ〜‥‥」

 つい先日もゼフェルは私邸から色々な道具を執務室へ持ち込み、執務もそっちのけで
機械いじりをした挙げ句、彼が聖地にやって来てからもう何度目になるか解らない
”爆発”を起こし、ジュリアスに”そなたがついておって一体何をしているのだ!!”と
お小言を貰ったばかりなのである。
 珍しい所でばったりあったゼフェルにルヴァは声をかけようとしたが、
その後ろについて歩く人影を目にして一瞬気を取られ声をかけるタイミングを失った。

 「‥‥‥あれはアンジェリーク?」

 ゼフェルの後ろをアンジェリークが楽しそうについて歩いていた。
ルヴァは思わず物陰に隠れ‥‥というより、二人がルヴァの視界からは見えにくい場所に
移動しただけだが‥‥、まあ、そういった状況になってしまった。

 「弱りましたね〜。かといってこのまま帰るのも‥‥‥」

 ルヴァがいる事も知らずにゼフェルとアンジェリークは公園の真ん中の広場で止まった。
ゼフェルは両手に納まるくらいの機械を持っており、それの一つを地面に置くと
手元に残ったもう一つの機械をいじり始めた。
 下に置かれた機械は小さな小鳥程の姿をしており、ゼフェルの操作によって
空へと飛び立った。それを見上げながらアンジェリークはとても楽しそうな表情で‥‥‥。

 「‥‥やっぱり年が近いと違うんですね〜‥‥」

 ルヴァはゼフェルと共にいるアンジェリークの顔が、自分と一緒にいる時とは違うような
気がしてふと、呟いた。
 ゼフェルが手元のリモコンをアンジェリークに渡すと、それまではまるで生きているかのように
大空を飛び回っていた鳥型の機械がへろへろとゆっくり墜落し始めた。
 焦るアンジェリークにゼフェルが操作の仕方を教えている。
その様にルヴァはドキッとした。まるで二人は寄り添うようにぴったりとくっつき
アンジェリークもゼフェルに教えを請う為にゼフェルにより体を密着させた。

 「!!!!!」

何だか必要以上にくっつく二人を見て、ルヴァはある日のゼフェルの言葉を思い出した。

 「‥‥‥アンジェリークってさ‥‥なんだか、俺が思ってたような感じじゃねーのな‥‥。
  俺うじうじしてるやつって大ッ嫌いだけどよ‥、あいつ‥
  さばさばしてて自分の言いたい事はっきり言うし‥‥‥‥‥‥」

 ゼフェルはそれ以上何も言いはしなかったが、その表情は明らかにアンジェリークに好意を持っているようだった。

 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥」

ルヴァは二人に声をかける事もなく、その場を離れ執務室へと戻った。







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 翌日‥‥‥。

 =コンコン。

 執務室でいつものように仕事をしていたルヴァの部屋に誰かが訪れたようだった。
ルヴァはいつものように、”どうぞ〜”と声をかけると、それを合図にドアが開かれた。

 「今日はルヴァ様!」
 「‥‥‥‥アンジェリーク‥‥」
 「ルヴァ様、あの‥‥」
 「アンジェリーク、私今日はとても忙しいので用件だけを言ってもらえませんか〜?」
 「?、はい‥すいません。あの育成をお願いしたいんですが‥‥」
 「わかりました。覚えておきます」

 いつもならにこやかに出迎えてくれるルヴァの意外な対応に、アンジェリークはきょとん‥と
してしまった。会話もそれ以上はずまずにルヴァとゆっくり
話をしようと思って来たアンジェリークは、ルヴァの机の前で固まった。

 「まだ何かありますか〜?」
 「‥‥はい‥‥‥。あの、ルヴァ様今度の日曜日は何かご用事ありますか?」
 「すみません。その日はもう先約がありまして‥」
 「‥‥‥そうですか。わかりました」

 その間一度もアンジェリークの顔を見ずに書類を書き続けたルヴァに、無言で追い払われるようにして
アンジェリークはルヴァの執務室を後にした。

 「ルヴァ様、なんだか御機嫌ななめだったみたい‥‥。珍しい‥。
  きっとお仕事忙しい時にお邪魔しちゃったのね‥‥‥」

アンジェリークはとりあえずその時は、そう気にも留めなかったがそれから最悪の日々が続いた。

 翌日、改めてルヴァの元を訪れた時も‥‥‥
 「すいません、これから出かけなければならないので‥‥」

 翌々日、聖殿の廊下で偶然会った時も‥‥‥
 「申し訳ないですが、今日中にまとめてしまいたい書類があるので‥‥‥」

 更にその翌日に執務室へ訪れた時も‥‥‥‥
 「すいませんが今日は忙しくてゆっくり時間がとれないんですが‥‥‥」

と、ことあるごとにアンジェリークは追い払われた。ここまで来るとアンジェリークでも気がつく。

 「‥‥‥私、ルヴァ様に避けられてる?。!!なんでー!!どうしてー??。
  何かルヴァ様を怒らせてしまう様な事をしてしまったのかしら‥‥」

 アンジェリークは廊下の真ん中で立ち止まり青い顔で考え込んでしまった。
しかし、ルヴァを怒らせてしまうような大失態は何も思い浮かばない。

 「‥‥どうしよう‥‥‥。ルヴァ様私の事嫌いになってしまったのかしら?」

 アンジェリークは涙目になりながら思い当たる節を探すが何も思い出せない。
しかし、ここで泣きこんでしまうようなアンジェリークではなかった。
今度の日曜日、”先約がある”と言われてしまったが、直接お屋敷に行って
少しお時間を頂こう!、と決めたアンジェリークは、遅くなってしまったその日は
素直に自室へと戻って行った。







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 そして日曜日、覚悟を決めたアンジェリークがルヴァの私邸に訪れ、
顔なじみになった執事さんにルヴァの今日の予定を聞いてみたら‥‥‥
 ”ルヴァ様は今日は何も御予定は入っておりませんが?。”
と言われ、ここまで来た決意に更にダメージを負わされた。

 (避けられてる。完璧だわ。でもどうして?‥‥、何かしてしまったんなら
  あやまらなくちゃ‥‥‥よし!)

アンジェリークは意を決してルヴァの部屋の戸を叩いた。

 ”コンコン”
 「はい」
 「失礼します」

震えてしまう声で返事をしてアンジェリークは部屋の中へ入って行った‥。

 「‥‥‥アンジェリーク‥‥‥」
 「‥あっあの‥‥‥、先約があると聞いたんですけど‥‥やっぱり来てしまいました。
  ルヴァ様、お話があるんですが‥‥‥」
 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥。」
 「あの‥‥‥‥‥‥あの‥‥‥‥‥‥‥あの‥‥‥‥‥‥、
  私、ルヴァ様を怒らせてしまうような何かをしてしまったんですか?」
 「‥‥‥いいえ、私は何も怒ってはいませんよ〜」
 「じゃあ、どうして私を避けるんですか?。‥‥‥もう私の事嫌いになってしまいました?」

 アンジェリークは言いながら何だが頬を伝うのを感じた。
ルヴァもいきなり泣き出したアンジェリークに動揺したが‥‥、

 「あなたを嫌ってなんかいませんよ〜。どうしてそう思うんですか?」
 「だっ‥‥‥だって、ここ何日かずっとちゃんと御会いしてくれなかったし‥‥」
 「??そーでしたか?」
 「そうですよ。‥‥‥‥なら、私と最近ゆっくりとお話したのは何時だったか覚えてますか?」
 「もちろん覚えてますよ。‥‥あれは‥‥‥ええ〜〜と‥‥‥‥‥‥?」

ルヴァは考え込んだまま固まってしまった。

 「6日前ですよルヴァ様。それから私が会いに行っても、忙しいとか用があるとか‥‥
  ずっと私を避けてたじゃないですか‥‥」
 「‥‥アンジェリーク‥‥別に私はそんなつもりは‥‥」
 「今日だって、私が御予定を聞いたらお約束があるって言ったのに
  執事さんに聞いたら今日は何にも予定はないって‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥!!」

 アンジェリークはとうとうぼろぼろと大粒の涙をこぼし始めてしまった。
泣きながらもだんだんと怒りが込み上げて来た。

 「ルヴァ様はっきり言って下さい!。私の何が気に入らないんですか!?」
 「‥‥アンジェリーク‥‥。別にあなたが気に入らない訳じゃ‥‥」
 「じゃあ一体なんなんですか!!。言ってくれなきゃ解らない事もあるんです!!」
 「‥‥‥‥‥‥あの‥‥その、何日か前に公園であなたとゼフェルを見かけたんですが
  その‥‥‥とても二人が楽しそうにしていたものですから‥‥‥」
 「???それで?」
 「‥‥それでですね‥〜と‥、その‥‥その姿を見ているうちになんだかこう‥‥
  胸の中がもやもやして来ましてね‥‥、あなたを想っている気持ちに代わりはない筈なのに、
  どうしてか‥‥その、あなたの顔を見るとイライラしてしまいまして‥‥‥」
 「?????????」
 「それがどうしてなのかは、自分でも解らないんですよ〜‥‥。
  あなたを避けるつもりはなかったんですが、結果的にそうなってしまって‥
  物凄く申し訳ないです‥‥‥」
 「ルヴァ様何言ってるんですか!!?」
 「え?」
 「解らないって本当に?」
 「?‥‥‥ええ‥‥」
 「私はゼフェル様とは何でもありません!。やきもちやいてくれるのは嬉しいけど
  そのいらいらをどーして私にぶつけるんですか〜!!?」
 「え?。‥‥‥やきもち‥?」
 「そうですよ!!。結局は私がゼフェル様と一緒に居たのを見て
  ゼフェル様にやきもちをやいたんでしょう?」
 「やきもち‥‥‥‥‥、これがですか?」
 「そーですよ〜〜〜!!!!」

 呆気無い原因にアンジェリークはへなへなと力が抜けてペタン‥‥と座り込んで
泣き出してしまった。ルヴァは焦って屈んでアンジェリークを泣き止ませようとするが
アンジェリークは体を振って自分に辿々しく触れてくるルヴァの手を振り放った。

 「も〜〜〜〜〜ここ何日私がどんな思いでいたか‥‥!!」
 「すみませんアンジェリーク‥‥‥」
 「嫌です。すごく辛かったんだから〜、ルヴァ様に嫌われてしまったんだって‥‥!」
 「すみませんすみません、どうしたら許してくれますか‥?」 
 「‥‥‥‥‥‥‥‥」

 アンジェリークは鼻をすすりながら、とても困った顔で自分を見つめるルヴァの顔を見ながら
それでも、簡単に許す気はなかった。

 「‥‥‥‥目を瞑って下さい‥」
 「‥‥え?」
 「私がいいって言うまで絶対に目を開けないで下さい!」
 「はい!」

 ルヴァはもしかして殴られでもするんだろうか‥‥と思いながら、それでも
アンジェリークを傷つけてしまったならそれもしかたないですね‥‥、と覚悟を決めた。
ルヴァはつい頬に来る衝撃を待ったが‥‥‥‥、来たのは確かに痛みだったが
頬ではなくおでこ‥額に何かしらの、今まで受けた事のないような痛みが走った。

 「!!!!!」

思わず額をおさえてうっすら涙まで浮かべたルヴァの耳に入って来たアンジェリークの台詞は‥‥

 「ルヴァ様‥‥‥”でこぴん”ってしってます?」
 「は?‥‥‥‥‥でこ‥?、なんですか?」
 「クラスで流行ってたんです。ゲームをして負けた人にでこぴん。
  私のは一番痛いって皆が言ってくれました」
 「は?」
 「ルヴァ様が悪いんですよ。私もっと辛かったんですから‥‥」
 「はあ‥‥‥‥しかし‥‥‥」
 「なんですか?」
 「‥‥(あなたも私以外の人に無防備すぎるんですよ‥‥)、いえ何でもありません‥」

 まだ痛みの引かない額を撫でながらも、それでやっと笑顔を見せたアンジェリークに
ルヴァはほっとした。

 そしてこの一件はお互いにとっての教訓となったのである。
<





アンジェリークにとっては‥‥
 「ルヴァ様って意外とやきもちやきなんだ。それで私に構ってくれるんならまだしも
  冷たくされるんじゃ‥‥これから気をつけなきゃ‥‥」

ルヴァにとっては‥‥
 「これから先アンジェリークは怒らせないようにしましょう‥‥‥。
  ”でこ‥‥”なんでしたっけ?。‥‥‥‥‥‥すごく痛かったです‥‥‥。」




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キリ番「200&222」を申告してくれたなっぱさんのリクで
「やきもちやきのルヴァ様」
ということでした。ちゃんちゃん、って感じ?。なんだかな〜も〜。
最後は小悪魔的なコレットでした。






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