鈍感男にキック!!



KIEFER ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■




 その日は麗らかな日の曜日の午後、アンジェリークはルヴァの屋敷ヘと向かっていた。
前もって日の曜日に逢う約束をしようと思ったのだが、
 …その日は先約があるので。
と言われてしまったのだ。がっくりと肩落ちするアンジェリークに
 …でも、用は午前中‥遅くても1時か2時には済むと思いますので‥。
とゆうことらしいので、3時に屋敷へお茶をしに行く約束をしたのだった。

 前もってアンジェリークが来る事を知らされていた屋敷の人に、部屋まで案内されると
どうやら用の長引いた来客がまだルヴァと話し込んでいるようであった。

 「‥‥どうしようかしら‥‥」

 ドアの前で悩んでいると、別室でお待ちになりますか?、という屋敷の人の案にのり
部屋の前を移動し曲り角を曲がったところで、ルヴァのいる部屋の戸が開いた音がした。
 アンジェリークは引き返したが、部屋から出て来たのはルヴァと見知らぬ女性で
思わず角に張り付きその様子を盗み見るような形になった。

 ………でわ、わたくしはこれで失礼しますわ。
 「ええ。すみませんね、こんなに長引かせてしまって‥」
 ………いいえ、やっぱりあなたでないとダメですもの。
    またお邪魔致しますわね、その時は御連絡もらえるかしら?。
 「ええもちろんです。‥あ〜送りましょうか?」
 ………ありがとうございます。でも大丈夫ですわ。少し緑を眺めながら帰りますから‥。
 「解りました〜。気をつけて下さいね」

 その馴染んだ雰囲気にアンジェリークは心を乱された。
ルヴァと年の離れたまだ子供な自分とは違い言葉遣いも身のこなしも優雅な大人の女性。
優しそうに笑う顔は「美しい」という言葉がぴったりと似合う、
大抵の男性‥‥同性である自分も思わず見とれてしまうような人物。

 「‥‥‥誰なのかしら?。それにルヴァ様とは一体どういった関係なの?」

 もやもやと沸き起こる不安を胸にアンジェリークは、女性が部屋を後にし
見えない所まで消えていったのを確認し、ルヴァの所へと進んだ。

 「‥こんにちわルヴァ様」
 「アンジェリーク!。済みませんね〜、あなたと約束した時間がずれてしまいまして‥。」
 「いえ、いいんです。でもよろしかったんですか?。どなたかお客様がいらしてたみたいでしたけど‥」
 「大丈夫ですよ〜。さあどうぞ」

 ルヴァに案内されアンジェリークは部屋の中に入った。
微かに馨る爽やかな香水の薫り。机の上に残された二人分のカップ。
きれいに飲み干してあるカップには、口をつけたはずなのに口紅の後がなく
礼儀作法もきちんとした女性な事が伺える。
 使用人がその机の上を片付けると、早々と部屋を出ていった。
ルヴァも机の上にある本やら何やらを片している。アンジェリークは不安に勝てず
失礼な事だと解りつつも、ルヴァに先程の女性の事を聞いた。

 「ルヴァ様、さっきの方はどなたなんですか?。私初めて見る方でしたけど‥」
 「ええ〜〜と‥‥‥、そのー‥、あなたが気にするような人ではありませんよ〜」

 ルヴァはアンジェリークの質問の答えにならない答えで口を逃がし、
ごにょごにょと言いつつ誤魔化した。それでますますアンジェリークは不安が積もる。

 (どうしてはっきりと教えて下さらないのかしら?。
  なんでもない人ならそう言ってくれても‥。ルヴァ様は嘘が得意な人ではないし
  私に本当の事を言えないような関係の人なのかしら‥‥)

 相思相愛の告白の後、とりあえず他の守護聖達には内緒で付き合い始め、
自分からの強引なものとはいえキスもした仲になっているにも関わらず、
アンジェリークは一気に元居た場所に落とされた気分だった。まだ片思いだった場所に‥。
 でも目の前で優しく笑うこの人が自分を騙しているようにも思えない‥。
でも、かといってなんでもないような間柄には見えなかった。
そのもやもやはずっと続き、寮に帰ってベッドに飛び込んでも消えなかった。







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 週が開けて3・4日経ってもアンジェリークのもやもやは消えなかった。
アンジェリークもこんな自分が嫌だったがいつものようにはっきりと聞く事も出来ず
そうしている間に悪い妄想は広がり、気分は落ち込む一方だった。

 「ア〜ンジェ!。こんな良い天気の公園でなに黄昏れてるの?」
 「‥‥オリヴィエ様‥」

 ベンチでぼーっとしていたアンジェリークに声をかけたのは、オリヴィエだった。
きれいに着飾った格好、その言葉遣いからは思いもしなかった程男らしく
また頼れるお兄さんのような存在で、アンジェリークはここ数日の不安を打ち明けた。

 「日の曜日のルヴァの屋敷に女性?。ふ〜ん‥‥‥それを目撃しちゃったんだ」
 「はい。凄くルヴァ様と親しい様子で私とても気になって失礼を承知でどなたかお聞きしたのに‥」
 「教えてくれなかったの?」
 「はい‥‥‥‥‥」
 「ふ〜〜〜ん」

オリヴィエは少し考え込み再び口を開けた。

 「ねえ、その人ってどんな感じの人だったの?」
 「どんなって‥‥‥。とても優しそうで落ちついた雰囲気の方で綺麗な人でした」
 「特徴は?。]
 「‥‥背は女の人にしてみれば結構高くて、綺麗なピンク色の髪の毛で‥‥」
 「!。‥そっか」
 「オリヴィエ様?」
 「アンジェリーク、ちょっとおいで」
 「ええ?」

 何かを思い付いたオリヴィエは足取りの重いアンジェリークの手を引っ張って
公園を後にし、自分の私邸へと足を向けた。
訳を求めるアンジェリークに、いいからいいから、とにこやかに笑い
屋敷の部屋の中にまで引っぱり込むと、綺麗な細工の施してあるチェストの引き出しから
一つの香水を取り出し、それを手早くラッピングした。

 「アンジェリーク、一つ頼まれ事を受けてくれないかな?。
  これをジュリアスの屋敷に居る”ディア”って人に届けて欲しいんだけど」
 「え?。どうして私が?」
 「行けば解るよ。それに正体不明の謎もね☆。さ」

 オリヴィエはアンジェリークの手に包みを持たせると、また外にまで連れ出し背中を押した。
訳のわからないままアンジェリークはジュリアスの屋敷に向かった。







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 「あの〜、オリヴィエ様に頼まれて”ディア”という方にお届け物を預かって来たんですけど‥」

 ジュリアスの屋敷につくと使用人に部屋まで案内され、そこで”ディア”という人を待っていた。
そして戸が開いて部屋に入って来た人は‥。

 「わたくしに何か御用?」
 「‥あ!!」
 「聞けばオリヴィエからわたくしに届け物があるとか‥‥」
 「‥‥‥‥‥‥‥」

アンジェリークはルヴァの屋敷で見かけた相手の思わぬ登場に固まっていた。

 「どうかなさったの?」
 「!いえ、すいません!。あのこれなんですけど‥」

 アンジェリークは持っていた包みを手渡した。
ディアは不思議に思いつつ、包みを開けると小さな香水の瓶が一つ‥。

 「わざわざどうもありがとう。よかったらお茶でもいかが?」
 「‥‥‥はい!。頂きます」

 アンジェリークは椅子に腰掛けるとディアが慣れた手付きでカップにお茶を注ぎ始めた。
ディアの顔をジッと見つめながらアンジェリークは恐る恐る口を開けた。

 「‥‥‥‥あの〜、オリヴィエ様とはどういった御関係なんですか?」
 「御関係ってほどのものでもないけど‥‥、古い友人って所かしら」
 「あの、この前の日の曜日にルヴァ様のお屋敷に居ましたよね?」
 「ええ。彼に調べものを頼みにお邪魔してましたの。それが何か?」
 「いいえ!!。すみません、失礼な事を聞いて!」

 慌ててカップに口をつけて目を臥せるアンジェリークに謎を感じつつも
オリヴィエの香水にディアは目をやると、そこに小さなメモ書きが挟まっているのを見つけた。
ディアはそれに目を通し、クスッと顔がほころんだ。

 「わたくしジュリアスと共に暮らしているんだけど、彼がもうすぐ誕生日で驚かせようと思って
  その事についてルヴァに調べものをお願いしに行ったの。
  だからあなたが心配するような事は何もないのよ」
 「え!?」
 「わたくしとルヴァの事を嫉妬していたのでしょう」
 「///////////////////////。どうしてその事を!!??」
 「ルヴァもそういった女の子の気持ちには大分鈍い所があるから、あなたも心配するわよね」
 「///////////////////////」

ディアは優しそうに微笑むとアンジェリークのカップにお茶を注ぎ足した。

 「‥‥でもだったらルヴァ様もそうはっきり言って下さってもいいのに‥‥」
 「きっと真面目なあの方の事だから、わたくしの事を教える時に
  始めから言わなくてはならないと思ったのね」
 「始めから?」
 「わたくし、先代女王の補佐官をつとめていたのよ」
 「ええ!!!???」
 「それに今はジュリアスと暮らしてるし、彼に何か迷惑をかけないようにと思ったのね」
 「そうだったんですか‥‥‥‥。そうとも知らないで私ったら」
 「安心した?」
 「済みませんでした。私‥‥。でもなんでその事で悩んでるってわかったんですか?」
 「オリヴィエの包みの中にメモが入っていたの。
  あなたがルヴァの事でわたくしに嫉妬してるって」
 「やだも〜/////////////」

 アンジェリークは赤い顔のままジュリアスの屋敷を後にした。
変な詮索までしてしまった自分の浅はかさに後悔をしながら、
そのままルヴァの執務室へと足を向けた。

 「こんにちわ、ルヴァ様!」
 「いらっしゃいアンジェリーク。おや?、何かいい事でもあったんですか〜?」
 「なんでもないです。ルヴァ様、今度の日曜日は空いてらっしゃいますか?」
 「ええ。何も予定はありませんよ〜」
 「じゃあ、遊びに行ってもいいですか?」
 「もちろん!。楽しみに待ってますね」

 アンジェリークは日の曜日の約束を取り付け笑顔で部屋を後にした。
週末を迎えて、日の曜日になりルヴァの屋敷ヘと向かうと、また例の曲り角で
部屋の戸が開く音を聞き、今度は隠れる事なく角を曲がった。すると‥‥、

 「ありがとうルヴァ!!」
 「いいえ〜。あなたの力になれて何よりです」

 今度は腰までもある綺麗な金髪のこれまた美人な女性が、ルヴァに抱きつき感謝の気持ちを表わしていた。
ふいに抱きつかれた事でルヴァの顔が照れたような顔になったが、 またのただならぬ雰囲気に
アンジェリークは押されてしまった。
 まるで蝶が舞っているようにその女性はかけていったが、その後ろ姿を見送るルヴァの目に
目端を釣り上げたアンジェリークの顔が写った。

 「ルヴァ様!!。今の方、一体誰なんですか!?」

 説明を求めるアンジェリークにまたもや口を濁し、ディアの元に駆け込んだアンジェリークは
今度はクラヴィスの屋敷へと届けものをするはめになったのだった。




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浮いたキリ番「2222」を貰ってくれたなっぱさんのリクで
「勝気ちゃんにやきもちを焼いて欲しい!」
ということでした。やきもちになってるかな?。ルヴァって恋愛関係とか
女心とか全然鈍そうだからコレットは大変そうだわ。






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