バースデイパラダイス



KIEFER ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■




 「ルヴァ様、明後日って何の日でしたっけ?」
 「明後日?。‥‥あーーえー‥‥と、何の日でしたかねぇ‥‥。
  それが何かあるんですか?、アンジェリーク」
 「いいえっ。なんにもないでーす」

 ある日の午後、ルヴァの執務室に育成を頼みに来たついでに(あるいはその逆か‥)
ルヴァと長く話し込んだアンジェリークは、元気に頭を下げると
そのまま、スキップでもしそうな勢いで寮へと帰っていった。

 「よかった。ルヴァ様忘れていらっしゃるみたい。
  明後日はルヴァ様の誕生日、お祝するからには是非びっくりしてもらわなきゃ」

 アンジェリークはこっそりルヴァの誕生日のお祝をすすめていた。
残念な事にその日は平日で、ゆっくりと時間もとれないのだが‥‥‥‥
 ”ううん、ようは気持ちがたぁ〜〜〜っぷりこもってればいいのよ。”
という感じでその日を楽しみにしていた。







◇◇◇◇・◇◇◇◇・◇◇◇◇・◇◇◇◇・◇◇◇◇・◇◇◇◇・◇◇◇◇・◇◇◇◇





 とうとうその当日、アンジェリークは朝からそわそわ‥‥、どうにも落ち着かない。
育成を頼みにいった先でジュリアスにまで”今日は落ち着きが足らぬ”と
お小言をもらっていた。

 「今日の執務が終わる時間、5時が勝負よ‥‥。お屋敷に帰ってしまう前に捕まえなきゃ」

 そして4時45分、寮内の自室で身だしなみを整え、準備を済ませると
鏡に向かって気合いを入れて、ルヴァの元へ向かった。







◇◇◇◇・◇◇◇◇・◇◇◇◇・◇◇◇◇・◇◇◇◇・◇◇◇◇・◇◇◇◇・◇◇◇◇





 「時間ギリギリだわ。間に合うかしら?」

 公園を抜けて宮殿に辿り着くと、かなり奥の方にあるルヴァの執務室に走った。
まだ部屋の明かりがついてる事を、ドアの下の隙間から確かめると
荒くなった息を整え心の中で「よし!」と呟きノックをしようとしたその瞬間‥‥‥‥
急にドアが開かれてふいをつかれたアンジェリークは、避ける間もなく頭をぶつけてしまった。

 =ゴン!!。
 「いっっっ!」
 「ごん?。‥‥‥‥あーー!!、アンジェリーク!!」
 「‥ぁたた‥‥‥、こ‥こんばんわ、ルヴァ様‥」
 「す‥すすすみません、アンジェリーク‥‥‥。私の不注意で‥‥お怪我はありませんか?」
 「だ‥だいじょぶです。‥‥ぼーっと立ってた私が悪いんですから‥‥」
 「でも、ちょうどよかったです。これからあなたの所にお邪魔しようかと思っていたのですよ」
 「え?。私の所に?」
 「もしこの後お時間が空いていれば、森の湖に御一緒しませんか?」
 「(森の湖‥‥、お祝の準備をして来たけど‥‥ま、いっか。
   ルヴァ様から誘っていただけるなんて、思っても見なかった)
  ええ、よろこんで」
 「ああ、よかった。では早速参りましょうか」
 「え?。ちょっ‥ルヴァ様!?」

 アンジェリークが返事をすると、ルヴァはいつになく積極的にアンジェリークの手を掴み
グイグイと引っ張っていった。いつもはアンジェリークが焦れてしまう程
ゆっくりと歩く彼からは想像も出来ない程、早足で進むルヴァに
アンジェリークは途中躓きそうになりながらも、ルヴァの後についていった。

 さあっと視界が開けて森の湖が見えて来た。別名恋人達の湖、とも呼ばれ
日の曜日になると恋人同士で溢れかえる場所だが、平日はそれほど人が来る事もなく
夕方のこんな時間になると、ほとんど人は通らない。

 「あーー!。よかった‥‥。間に合いましたね‥」
 「間に合ったって?」
 「えー‥‥どうしても今日のこの景色をあなたに見せたかったんです」
 「わあ‥‥」

 そういってルヴァの指差す方向には、湖を真っ赤に染めながら沈んでいく夕日が見えていた。
なんともロマンチックなその景色にアンジェリークは感動していた。

 「すごい‥‥‥凄いきれいです‥‥。ありがとうございます、ルヴァ様」
 「あなたならきっとそういってもらえると思ってました。ずっと決めていたんです。
  その‥‥‥私の誕生日に是非あなたにこの景色を見せてあげたいって‥‥」
 「え?‥‥私に‥‥‥?」
 「ええ‥‥。あー‥‥‥その‥‥‥‥‥ですね‥。
  つまり‥‥私は‥あなたの事が‥‥‥好きなんです。
  もしよかったら、私と付き合ってはもらえないでしょうか‥‥‥?」
 「ルヴァ様!!!」

 アンジェリークは顔を真っ赤にしたまま固まってしまった。
実はルヴァの誕生日にこだわったのは、ルヴァの事が好きだ、という自分の気持ちを
打ち明けようという考えがあっての事だったのだ。
それを先に言われた事、またルヴァも自分を好きであった事に動揺し、言葉が出なかった。

 「‥‥アンジェリーク‥あなたの返事を聞かせてはもらえませんか?」
 「私‥‥‥‥」
 「アンジェリーク!?」

 気がつくとアンジェリークはルヴァに背を向けて走っていた。
頭の中には何もなかった。ただ、恥ずかしくてあの場から取りあえず逃げ出してしまいたかった。







◇◇◇◇・◇◇◇◇・◇◇◇◇・◇◇◇◇・◇◇◇◇・◇◇◇◇・◇◇◇◇・◇◇◇◇





 気がつくとアンジェリークは自分の寮の部屋の中にいた。
走ってかえって来てどれぐらい時間が過ぎたのか‥‥‥外はもう真っ暗だった。
アンジェリークがハッと我にかえった頃はもう夜中の11時30分を過ぎていた。

 「‥‥やだ!!。私返事もしないで走って来ちゃった!!!」

アンジェリークは急いでルヴァの屋敷に走った。







◇◇◇◇・◇◇◇◇・◇◇◇◇・◇◇◇◇・◇◇◇◇・◇◇◇◇・◇◇◇◇・◇◇◇◇





その頃ルヴァはひとり自室で暗く沈んでいた。それはそれは痛々しく屋敷の者も声をかけれなかった。

 「‥‥‥はああぁ‥‥‥、何がいけなかったんでしょうか‥‥。
  アンジェリークも私の事を好きかも‥‥‥なんて、とんだ思い違いだったんでしょうか。
  ‥‥‥彼女は誰にでも明るく接しているから、それを好意と
  錯覚してしまったんですね‥‥‥‥‥‥。はあああぁぁ‥‥‥」

 まさに地の底までも沈んでいくという感じのルヴァであった。
”明日からどんな顏して会えばいいんでしょうか”などとぶつぶついいながら
もう寝てしまいましょう‥とベッドに潜り込もうとした瞬間‥‥‥。

 「ルヴァ様。まだ起きていらっしゃいますか?」
 「‥‥ええ、なんですか?」
 「あの‥‥このような時間になんですけど、女王候補様がいらっしゃってるんですが。
  いかがなさいましょうか?」
 「ええ!!!??」

 ルヴァはベッドを出て玄関へと向かった。そこには確かに女王候補の
アンジェリークの姿があった。

 「‥‥アンジェリーク‥‥‥どうして‥?」
 「ルヴァ様‥‥!!」
 「え?、‥‥‥ええ!!?」

 ルヴァの姿を目にするなり、アンジェリークはルヴァに飛びつき軽くKIISをした。
その勢いで二人は倒れ、ルヴァは二人の下敷きになってしまい
ちょうどその時、日付けが変わる事を知らせる時計の音が鳴り響いた。

   「はっ!!。今何時ですか!?」
 「え?‥‥‥‥‥ええ〜と、ちょうど12時ですけど‥‥」
 「よかった‥‥。ギリギリ間に合った‥‥」
 「アンジェリーク‥‥一体これは‥‥‥‥」
 「ルヴァ様、さっきはごめんなさい。走っていったりして。
  本当は嬉しかったんです。とっても‥とっても‥‥。
  だって私もずっとルヴァ様の事が好きだったんですもの。
  だからなんだか信じられなくて‥‥‥‥。だから、もう一度私から申し込んでいいですか?。

  ルヴァ様、好きです!。私と付き合って下さい!」
 「‥‥アンジェリーク‥‥‥」

 アンジェリークの顔は耳まで赤くなって、その顔は泣き出しそうであった。
ルヴァは優しくアンジェリークの髪に触れるとにこやかに笑った。そして‥‥。

 「ええ、もちろん。私もあなたの事が大好きですから‥‥」

 その言葉を耳にしたとたん、アンジェリークは顔に明かりがともったように
今までルヴァが見た事のないような笑顔を見せた。
その顔が愛しくて愛しくて、たまらない気持ちが沸き上がるのを押さえつつ
ルヴァはアンジェリークを抱き寄せた‥‥‥。

 「‥‥‥最高の誕生日プレゼントをありがとう‥‥アンジェリーク‥」




■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■END




カウンター「400」GETのなっぱさんのリクエストに書きました。
リクエスト内容は「ルヴァ&コレット(勝ち気)」で
「押せ押せの勝気ちゃんがびっくりしちゃうルヴァを希望したいです!」
との事でしたが、結局いつもの通りになっちゃったような気がする‥‥‥‥。
御希望に添えていればいいんですけど‥‥。






Back



SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送