彼女を振り向かせる方法



KIEFER ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■




少年はその場所に訪れて、一番最初に恋に落ちた。
何を思うよりも、何をするよりもまず先に、その少女に恋をしていた。










 「やぁディア。今日も変わらず、美しいな」
 「オスカー。いつもお上手ね」
 「いや‥‥世辞ではないんだが‥‥」
 「えぇわかっているわ。ありがとう」
 (今日も空振りか‥‥‥)


 この桃色の麗しい人はいつも自分の言葉をさらりと流す。
オスカーはいつも本気で言っているのに、それを挨拶代わりのお世辞ととってしまうのだ。
それはディアだけを責められたものではないが‥。

 オスカーの普段の行動も信憑性を無くしている理由の一つだろう。
また、年は大差なくてもオスカーが聖地に守護聖として招かれた時には、
彼女はもう、女王補佐官として多くの責務を果たしていた。
その僅かな差が、彼女の中でオスカーをそういった感情の対象外としていると思われる‥‥。

 ディアに振り向いてもらう為には、相当な努力がいる事を
オスカーもわかってはいるのだが如何せん、プライド(なんのプライドだか‥‥)が邪魔して、
あからさまなアタックも出来なかった。
この自分がたった1人の女性に入れあげているなんて‥‥‥。
しかも振り向いて貰えない相手に‥‥‥。

 他の女性(と比べるのもどうかと思うが)ならば、ぽぅっと頬を赤らめる甘い台詞も
ディアには全く通用せず、まるで春風が吹き抜けて行くように、
オスカーのアタックは軽くディアには流されてしまうのだ。
自分が彼女に気がある事を、彼女ですら気付いていない風にも見える。








 オスカーはまた一つ溜め息を吐く。去り行くディアの後ろ姿に目をやりながら‥‥。
そして今日のその一部始終を見ていた人物がオスカーに声をかけてきた。
オスカーにとっては、もっとも知られたくない、見られたくない相手に。


 「まぁ〜た降られたの?」
 「‥オリヴィエ‥‥‥」
 「あんたにしちゃ、手こずってるわねぇ‥‥。でもしょーがないか。あのディアが相手じゃね」
 「どーいう意味だ?」
 「やぁね、勘ぐらないでよ。嫌味じゃないわよ。ディアは育ちがいいから、軽い誘いには
  乗らないでしょうよって意味よ。あんたのいつも通りな口車にもね★」
 「‥‥余計なお世話だ。お前には関係ない。余計な事するなよ」
 「ふん、そこまで野暮じゃないよ。これでも、
  ディアに惚れたあんたの感性に感心してるんだから、邪魔なおせっかいはしないわよ」


 オリヴィエは少し機嫌を害したように、ファーをひらひらさせながら去って行った。
そこに残る香水の匂いが、ディアの残り香をかき消してオスカーはむっとしながら執務室へと戻った。










 ここ最近になって、彼女に対するオスカーの病は悪化するばかりだった。
他の女性と比べるのも失礼な話だが、今までどんな女性でもうっとりと夢見がちにさせてきた
台詞・仕種・視線や物腰。そのどれもがディアには通用せずいつもいつもいつもいつも!空振りである。
最初のほんの些細な切っ掛けでいい。彼女の気をひく事ができれば、そこから二人の関係を進展させて行く自信が
オスカーにはあった。しかしほんの少しの彼女の気をひくには、一体どうすればよいのか?
今までの経験は何の足しにもならなかった。
なので偶然出逢う事ができても、ひらり‥とかわされる挨拶をするだけに留まっていた。




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オスディアです。前々前々からずっと気にはなっていたカップルです。
ジュリディアとはまた違ったディアと、彼女に対してのオスカーがなかなか表現するのが難しくて
イメージがはっきりと固まるまで、完結はしないと思います。
ディアを相手にオスカーがどんな行動に出るのか、書いている私もさっぱりわかりません^^;






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